Posted by admin on 2015年4月28日
美容院に行くと、必ず持参の小説を読むようにしています。行き慣れたサロンなので、切ってくれる人も不用意に話しかけたりせず、黙々と作業をしてくれます。何も言わずともこちらの意を汲んで毎回ステキなヘアースタイルにしてくれます。たまに絶妙に良いタイミング「何を読んでいるんですか?」と聞かれ、答えて、会話が弾む事があります。
お店選びの基準として、読書の空間に合うかというのは私にとって重要な問題です。長居をする場所は特にそうです。ですから、少しネイルやまつげエクステは退屈です。手や目が自由に動かせなければ何も出来ないのです。そういう時は妄想の世界に入ります。「あの登場人物は物語の後こういう行動をしそうだな」「いやでも、こういう風になるのも面白そうだ」「ああ、あの話は考えてみればこういうことだったんだ」そして、突然、感極まって涙を流したりするのです。すごく不気味です。カフェでもそういう事があり、ぎょっとされます。しかしそこは通い慣れた場所です「いつものことだ」で済ませてくれます。行きつけはこれだからありがたいのです。そこまで親しくなくとも、こちらのことを分かってくれているので適度の放置をしてくれます。だから私は浮気をあまりしないんです。
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Posted by admin on 2015年4月13日
コンシェルジュ型のお店が最近増えていて、よくお買い物をします。通販でも店舗でもあるのですが、これは、集合住宅のようなもので、トップにいる人、管理人さん的立場がオーナーの方で、そこに入っているお店の人が紹介をしている、といった感じです。各分野の有名人や著名人の方、興味がある人が大々的に「これはいいものですよ」「面白い物なんですよ」と魅力的に謳っているとついつい欲しくなってしまうのが人間の心情です。くそう、この、商売上手! 作家さんが推している製品なんかは垂涎もので、ついつい手に取ってみたり、カートをクリックしてしまうのです。
今まで知らなかったとても素敵な商品を目にでき、それがとても優れていると言われるとなんとなくお財布の紐も緩くなってしまいますよね。今月、お金が厳しいのに! と思いつつも欲望に負けてしまいます。先日購入したアンティーク色の濃いブックスタンドも一目惚れの品で、木目がとても綺麗です。つなぎの部分の鳥のモチーフが美しく、高かったけれど「一生もの」だし、と。このことばもクセモノです。良い日本語が沢山ありますね、「ずっと死ぬまで使えますよ」って言われるとお得な気がしてしまうんです。言葉って怖い、でも、すごく好きなんです。
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あれも欲しいこれも欲しい はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年3月29日
甲子園は、最初の「ウオーン」というサイレンが鳴っただけで泣けます。ユニホーム姿でグランドに精悍な表情を見せる若い選手たち、どれほどの厳しい練習に耐えてきたのだろうかと考えると堪らなくなります。チームのメンバーと喧嘩をしたことでしょう。いろいろな事情を抱えてプレーする人もいる筈です。多感な年頃です。悩みも多く抱えています。しかし、一年に一度しかないこの大会に向ける情熱は計り知れないのです。
砂埃が舞い、声を出し、バットを振り、グローブをはめ、白球を追いかける彼らはとても輝いています。学生時代にこのような貴重な体験ができること、仲間と夢を語り、勝利を目指して走り抜けた思い出はきっと一生の財産になります。画面を見つめながら「頑張れ、みんな!」と誰も知らないのに身を乗り出して応援してしまいます。
そんなわけで、私は、野球小説が好きです。特に、学生が悩みながらも進んでいく話には目がないのです。大傑作ものが多く、何度も読み返したくなるものばかりで、知人友人にも「くどい!」と言われるぐらい紹介しています。嵌ってくれる人も中にはいて、会話ができ、嬉しく思います。とある大好きな球児好きの小説家さんがある年、観戦記をネットで連載していた事があり、むさぼり読んだことがありました。今年も読めるといいな、と思っています。
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真夏の醍醐味はこれしかない! はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年3月13日
友人がある飲みの席で「人生で初めて回らない寿司を食べた時はとても感動した。こんなに美味しいものがあるなんて素晴らしい世界だと思った。日本に生まれてよかった。だから、これからも食には貪欲に生たいね」と、肥満気味の身体を揺り動かしながら豪快に笑ったので、私もつられて笑顔になりました。メタボリックの再検査の通知が来て自棄になっているのが明白だったからです。
大好きなお酒も煙草も控え、烏龍茶を呑みながら、野菜をもしゃもしゃ食べるその姿は哀切でもありました。隣で唐揚げを食べる人にジメッとした目を向けるのもなんだか可哀想になるぐらい不憫でした。
彼にどうしてか女の子が一生懸命にダイエットに取り組む内容の小説をプレゼントしたくなりました。もちろん、なっただけでそんな事はしませんが。ぜひとも読んでほしいとふっと思い立ったのです。若い女性にピッタリな作品ですが、40代後半の男性にもある意味共感を呼ぶのではないでしょうか。題名は辛辣ですが、内容はなかなか深いのです。ぷにぷにしたお腹を撫でて「明日から朝マラソンする? 手伝うよ」と言うと、ひくついた笑顔で「いいよ、俺、マラソンすると脇腹が痛くなるんだよ、こう、じんじんするんだ。もっと楽してなんとかなる方法を考えるよ」と答えました。
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友人の痩せたいお腹 はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年2月25日
先日、海に行きました。波は穏やかで晴れ渡った空との稜線が光輝きとても美しかったです。季節外れだったので海水浴を楽しむ人はいなかったけど静かな海岸もなかなか良いものでした。シーズンでは無いのに海岸沿いにあるお店は営業をしていて、いろいろと物色をしていると、隅の方にホラ貝がちょこんと置いてありました。手に取って眺めていると、どうしても欲しくなり、なんの使い道も無いのはわかっているのですが、歴史好きの私です。開戦の前に「ぶおおお~」という、アレ。どうしてもやってみたくなり、思わず購入してしまいました。
どんな音が出るのか期待しながら家に帰りました。逸る気持ちを抑えて吹いてみると、空気の抜けるような間の抜けた音が。何度かチャレンジしても全く思うような音は出ず、これは練習が必要だなと苦笑しました。
戦の時にホラ貝を鳴らす人のテクニックたるや、到底私には及ばない事を知り、古の武士に憧憬の気持ちが湧きおこります。とても私には肺活量が足りないのです。ふと、気付いたのですが学生時代、私はリコーダーが苦手でした。
そういえば小泉八雲は、煙草掃除を女中に頼む時にこれを用い、音で呼ぶのを楽しみにしていたそうです。
彼の著作は「耳なし芳一」と「雪女」が有名ですが、その生涯も調べてみるとおもしろく、島根に旅行した際は旧宅と資料館にいそいそと立ち寄りました。海外から日本に魅力を感じて移住してきた彼。私は彼のように煙草も吸わないし女中もいないけど、毎日ぷうぷうと歌口に唇を当て、練習しています。
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出陣するにはまだ早かった はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年2月10日
「風立ちぬ」は小学生の頃に読んでいたのですが、当時の私には難しすぎました。著者である堀辰雄が若くして病で亡くなった事ぐらいしか記憶に残っていませんでした。再読したのは最近で、ジブリの映画の影響で書店に並べられていたので、懐かしむ思いから手にとってみたのです。この作者の死因である「結核」と言えば、高杉晋作や沖田総司も罹患し若くして斃れましたが、最も患者数が多かったのは昭和26年と記憶しております。意外と最近の病なんですね。その頃と比べて現在は1000分の1に減っていて、薬も沢山あるようです。歴史小説を愛読している者にとって、どうしてもその病は昔のものであるような気がしてしまいますが、決して過去の病気ではないんですね。
さて、この「風立ちぬ」ですが、改めて読んでみると、なんて文体も景色も節子と言う女性も美しいのだろうかと感動を覚えました。あの頃、分からなかった内容が、胸に落ちてくるような感覚。ストンと嵌って、滲み出るような情緒を感じ、これだけの年月をかけなければ読めなかった本なのだな、と感じました。
ちなみに、題名は「風が吹いた」という意味らしく、「風と共に去りぬ」という映画がありますか、あれは「風と共に去ってしまった」という意味です。「ぬ」は完了の助動詞なのですね。
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歳を重ねて見えてくるもの はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年1月24日
たまに、本当に滅多にないのですが、書店で運命的な一冊と巡り合う事があります。それは、不思議な出会いです。こちらに訴えかけてくるような、あの感じを何と言えばいいのか分かりません。形容しがたいのです。まるで、手招きされているような、目には見えない何者かが導いているようなそんな不思議な感覚です。そういう形で出会ったものは、身体の一部であるように、その後の私にとってなくてはならない存在となります。
思わぬところで助けてくれたり、役立ったり、落ち込んだ時に励ましてくれたり、そして、その著者とは不思議なことに共通点が何かしら見つかるのです。例えば、住んでいるところが同じであったり、好きなもの、熱心にやっていたスポーツ等の偶然の一致を見いだせるのです。
他人からすれば、たいしたことではないのかもしれませんが、本人にしてはとても大きな衝撃です。私に起こる奇跡はこのような小さい事です。奇跡、というか、宿命と言えば、この前「わが生涯」という本を手に入れました。20世紀を代表するアメリカのダンサー、モダンダンスの租と呼ばれたイザドラ・ダンカンの単行本です。彼女はヨーロッパ公演の一つとしてロシアに訪れた時、それを感じています。早朝4時にペテルブルグに到着した彼女は、血の日曜日事件の惨劇後の葬儀を目の当たりにします。まるでその光景はエドガー・アラン・ポーの小説のようだったと述べているのです。私は彼女のように衝撃的な宿命を感じた事はまだありませんが、悲劇よりも、楽しい場面に立ち会えたらなと考えています。
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奇妙なめぐり合わせについて はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2015年1月9日
我が子のように、というのとはちょっと違うのですが、成長を見守っていた子がいました。行きつけの書店定員のKさんです。彼女はおそらく高校生でしょう。蛍光灯の光に反射する黒い髪がとても綺麗で、若さあふれる女の子です。
仕事を始めたばかりの頃は場所を聞かれれば戸惑い、対応が悪いとスタッフの先輩に怒られ、少しおっちょこちょいなのか本をよく倒したりしていました。しかし、一年が経つころには、すっかり一人前になっていました。最初はブックカバーをするのもままならなかったのに、何時の間にかベテラン然としています。
「立派になって」と陰ながら微笑ましく思っていましたが、ある日からめっきり姿を見なくなりました。学業に専念するために辞めてしまったのかな。と、いろいろ妄想をしながらも、なんとなく物足りないような、ちょっとしたセンチメンタル的な気持ちを味わいました。しかし、バイトを一年間勤めあげるというのは立派なものです。本屋に勤めるのは大変なのです。覚える事は沢山あるし、力も使うのですから。どんな仕事でも言えますが、容易なものはありません。
そして暇な私は今日も新しく入ったアルバイトの子の成長を観察し、見守っています。全然何の関係もありませんが、ちょっとした道楽です。
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過ぎ去り人々を棚の陰から眺める はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2014年12月27日
ついついあらすじを喋るつもりが熱くなって、聞き手を引かせてしまう事が往々にしてあります。さわりだけのつもりが、ここに感動した!という強い主張が混じってきて、登場人物の葛藤を自分ながらに解釈して熱弁をふるい、最終的には泣きが入るのです。お酒の席では特にやってしまいます。
友人の間で私に「それどんな内容だったの?」と聞く事は禁句になっているそうです。そんな訳で、最近とても消化不良を起こしています。読書会なるものに参加しようとも思うのですが、いまいち勇気が出ませんし、不安もあります。自分が知らない、読んだことの無い小説を他者がたくさん読んで知っているという事実に直面すると平静ではいられないのです。無駄に高いプライドが邪魔をします。他にも、感想の相違で大喧嘩が勃発しないか、だとか、派閥があるのではないかというような事を考えては、参加する前から彼是といった事を引っ張り出して踏み切れない事って結構あるのです。
仕方がないので、取り敢えず母親に聞いてもらうことにしています。私の話はだいたい右耳から入って左耳から出ていくそうなので、適当に相槌を打ちつつ聞いてくれます。いつか、素晴らしいパートナーと出会い、思う存分、吐き出せる日を目指して生きていこうと思っています。
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小説を語れる話し相手がほしい はコメントを受け付けていません
Posted by admin on 2014年12月13日
読書をすると、時間を忘れてしまいます。平日の読書は特にもどかしいです。朝読むと、夢中になりすぎて会社に遅刻しそうになり、昼の休憩が終わって周囲は皆仕事に取り組んでいるのに、一人だけ気付かず本を読んでいたり、夜読めば止まらなくなり夜更かししてしまう。一体どうすればいいのでしょう!そこで提案します。アラームをセットする事を。そうすれば、時間を気にせずに本が楽しめます。注意しなくてはならない事は、アラームの電池の残量とアラームの音に気付くようにしなければならない事です。夢中になりすぎると、音が耳に入らない事がありますから、絶対に気がつく音楽や効果音のものにしましょう。では絶対に気がつく音とはなんなのかですが、そんなモノは経験上ありません。私が実際体験した経験から、絶対に気がつくアラームが二つあるので、そちらをご紹介します。まずは「クロッキー」というアラーム。こちらは、部屋を走り回ります。地べたで本を読んでいると身体に当たりますので、気付く可能性がぐっとあがります。もうひとつが、ウォーター・スプレー・アラームです。こちらは水を飛ばしてくれるので、手元の本が濡れて気付かせてくれます。涙と勘違いしないように気を付けなければいけませんが、大体気がつきます。時間に追われる読書人には強力な目覚し時計が効果的です。
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