歳を重ねて見えてくるもの
Posted by admin on 2015年2月10日「風立ちぬ」は小学生の頃に読んでいたのですが、当時の私には難しすぎました。著者である堀辰雄が若くして病で亡くなった事ぐらいしか記憶に残っていませんでした。再読したのは最近で、ジブリの映画の影響で書店に並べられていたので、懐かしむ思いから手にとってみたのです。この作者の死因である「結核」と言えば、高杉晋作や沖田総司も罹患し若くして斃れましたが、最も患者数が多かったのは昭和26年と記憶しております。意外と最近の病なんですね。その頃と比べて現在は1000分の1に減っていて、薬も沢山あるようです。歴史小説を愛読している者にとって、どうしてもその病は昔のものであるような気がしてしまいますが、決して過去の病気ではないんですね。
さて、この「風立ちぬ」ですが、改めて読んでみると、なんて文体も景色も節子と言う女性も美しいのだろうかと感動を覚えました。あの頃、分からなかった内容が、胸に落ちてくるような感覚。ストンと嵌って、滲み出るような情緒を感じ、これだけの年月をかけなければ読めなかった本なのだな、と感じました。
ちなみに、題名は「風が吹いた」という意味らしく、「風と共に去りぬ」という映画がありますか、あれは「風と共に去ってしまった」という意味です。「ぬ」は完了の助動詞なのですね。