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読書に夢中な男の子が転んでしまって

Posted by admin on 2016年11月20日

こないだ散歩をしていると、ランドセルを背負った小学生の男の子が本を読みながら、反対方向から歩いてきました。ランドセルの横に下げた揺れる給食袋が太ももあたりに当たっているのもお構いなしに、真剣な表情で本に目を落としながら歩いています。おそらく三年生くらいでしょうか、小柄な体つきに細い脚、お節介かもしれませんが転んでしまわないか心配になってしまいます。その子供は気配を感じたのか、本から少し目線を上げて私の姿を確認すると、またすぐに目線を本に戻し黙々と本を読み始めました。何をそんなに必死になって読んでいるのだろうと気になるところですが、あまりじろじろ見ては失礼かと思うと、なんだかこちらまで歩みがぎこちなくなってきました。私と男の子の距離があと五メートル程になった時、男の子が躓き、絵に描いたように前傾して転んでしまいました。ツンと澄ましていた男の子顔が驚きと恐怖で歪んだのを確認する前にはもう、体が自然と動き、駆け寄って「大丈夫ですか?」と声をかけている自分がいました。寸分の沈黙の後、男の子はアスファルトに倒れこませた上半身を徐に起こしながら「いてて」と笑いました。ケガはなく一安心ですが、男の子の恥ずかしさ隠しの笑顔が切なくてたまりませんでした。
放り投げてしまった本を拾った時に、その本がおそらく外国のヤングアダルトの冒険ものの和訳本、さらに私が今行こうとしている図書館のシールが貼ってある事に気が付きました。好きな本は?とかそれはそんなに面白いの?なんて聞きたい事が込み上げてきますが、ただ一つ、「本が好きなんですか?」と問うと笑顔で「はい!」と答えてくれました。「じゃあ、気を付けて」と手ふりその場から去ろうとすると男の子は「ありがとうございました!こんどからお家に帰ったらよみます」と言って、ランドセルを開けて本を中に入れました。ランドセルの金具が擦れる音、久しぶりに聞いたななんて、ふいに耳に入ってきた懐かしい音が心地よかったです。それにしても咄嗟に敬語がでてしまった自分が面白可笑しいです。

Filed under: 小説とわたしと日常

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