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裏の古本屋のお父さんの実践論

Posted by admin on 2018年10月10日

かつて友達のお父さんは“裏の古本屋”でした。私が勝手にそう呼んでいただけで怖い・変な人ではなく、知的で優しく親切な印象の人でした。どうして私がそんな風に呼んでいたかというと、友達から聞いた話によります。彼女のお父さんはかなりの多読家で仕事の帰りに本がぎっしり詰まった紙袋を両手に携えて帰ってきて、それを一週間くらいで読み終えてしまう。読み終えた本は駅前の古本屋に全部売りさばいて、また新しい本をたくさん買ってくるらしいのです。お母さんもその子も、そんな事勿体ないからやめようよと言っているのに、「もう読まないんだから、家に置いておくと邪魔になるし」と言って古本屋に持っていくのをやめる気はさらさらないお父さん。それどころか、売ってしまった本を読みたいと言って、わざわざ古本屋に行って立ち読みしたり買い戻してくる事もあったんだとか。その子と件の古本屋に行ってみると、「ここにある本ほとんどお父さんのだ」と言って棚三面ほどを呆然と見上げていました。そこにあるのは経済学や金融論の本ばかり、もはや「経済系の本コーナー」と化しています。
二人で本棚を見上げていると、古本屋の店主が現れ友達に「○○さんの娘さんではないですか、こんにちは」と声をかけました。やはりお父さんがこれだけの本を売りに来ているだけあって、店主は娘である友達の顔をしっかり覚えているようです。「いつもお父さんが本をいっぱい持ってきてごめんなさい」友達は恥ずかしそうに店主に謝りましたが、店主はとんでもないとニコニコ笑って「お父さんは経済を熱心に勉強している方だからね、こうやって自分で買った本を売りさばくのにも意味があるとか言っていたよ」。その時はそんな話を聞いても、友達も私も「やっぱりおかしいよね!」と笑い合っていましたが、今こうして少し経済学をかじると、お父さんがやっていた事が“金融”の概念に似通っている事を知りました。お金を融通させる、から金融、あるところからないところへ流すという定義。お父さんはあの古本屋に本を融通させ、さらなる繁栄を願っていたのかもしれません。

Filed under: 小説とわたしと日常

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