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「飯屋の近くの本屋はやめとけ」というおばあちゃんの話

Posted by admin on 2018年1月17日

昔おばあちゃんが「風呂屋・飯屋・クリーニング屋の近くにある本屋は行くな」と言っていました、なぜって湿気で本が傷んでいるからなんだそうです、さらに言えばとくに飯屋はダメなんだそうです。商店街にそれらのお店が軒を連ね、元気に営業していた時代のお話です。今では換気設備が整い湯気や湿気が外部に漏れる事はないですし、商店街にある風呂屋さんは姿を消し、クリーニング屋だって店舗で洗濯・乾燥している事は珍しくなったものです。かつておばあちゃんが通っていた古本屋は定食屋の近くにあって、品揃えはとてもよく気に入った本はいくつもあったものの、定食屋から流れてくる煙や湯気などの影響を受けて、その店にある本の多くは異様に黄ばみ得体の知れないにおいが染みついていたそうです。しかし今のようにネットで本が買えたり、簡単に隣町まで移動して本屋を探し歩いたりできる時代ではありません。気に入った本があったらそこで買うしかないためどんなに黄ばんでいようが目を瞑っていたらしく、おばあちゃんの本棚の中で特に汚れが酷い本はそういった理由で購入されたものなのだと知ると感慨深いです。「古本屋の亭主から定食屋に何か言えばよかったのにね」と言うと、おばあちゃんは顔をしかめて「頭が上がんなかったんだと。あの本屋の親父ったら、定食屋で安く食わせてもらえるからっていっつもいい顔してたんだから」なるほど、文句を言ったら割引サービスを適用してもらえなくなる事を恐れていたとは。そのおかげでくっきりと汚れた本たち、いくつになってもおばあちゃんの記憶に刻まれ孫の私にまで語り継がれているなんて古本屋の亭主は想像もつかないでしょう。

Filed under: 小説とわたしと日常

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