様々な視点から鑑賞してみても
Posted by admin on 2016年10月8日ファッション雑誌で“眼鏡がつくる世界”と銘打たれ特集を読んだのですが、一風変わった魅せ方をしていて面白いなと思いました。モデルさんが主役であるクラシカルでオシャレな眼鏡をかけ、テラスやベッドの上で本を読んでいます。アンニュイな雰囲気のロートーンの写真は眼鏡と本を強調して撮られていて、隅には小説の一説が書き出されています。誰もが知っている文豪の有名な小説から引用されているのですが、書き出される一説は何の変哲もない情景描写、有名な小説でも誰も覚えていない様な文章をあえて選出しているのでしょうか。この眼鏡をかけなければ見えなかった、見逃していた世界が浮かび上がりるメタファーになっているのでしょうか。この特集をカメラ好きの友人に紹介したところ、友人は写真に施された加工や撮影テクニックに感銘を受けた様で、「眼鏡の丸みを強調する、アングルと光加減ね、本の紙から黄色が跳ね返るのよ」なんて熱く語っています。読書好きの私はこの特集を読書の視点に立ち、カメラ好きの友人は写真に、それぞれ見るポイントは違いますが“眼鏡で可視化された隠された世界、これをうまく表現している点を評価するべき”という意見は同じです。様々な視点から鑑賞でき、かつテーマの伝達力が秘められているとは、これは雑誌の特集を超えて一つの芸術作品だなと思いました。