日記から回想した和歌との出会い
Posted by admin on 2020年6月30日私が中学生だった頃の話です。家の本棚にあった一冊の単行本のページを開いてみると、そこには決まった文字数で記載された言葉達が並んでいました。この本のことを父に聞いたところ「これは短歌」だと教えてくれました。百人一首くらいしか知らなかったせいか、その作品との出会いは軽いカルチャーショックでもありました。せっかくの機会だと思いページをめくってみましたが、恋愛や女心が詠われていたため、当時まだ子供だった私には難しく思ったのを覚えています。あれから何年もの時を経て再度読んでみた時、その歌達から生命力を感じてとても清々しい気持ちになったことを思い出します。
そんなささやかな過去を回想したのには理由があります。それは最近手にした本に書かれた日記が引き金となったのでした。一日のことがとても短い文章にシュールな言葉で書かれていたため、詩や歌の響きに似ていると思いました。決して綺麗なことだけを書いている訳ではないのですが、人間の心の奥にあることが短い文章に込められているためかどんどんその世界へと引きずり込まれてゆくのを感じたものです。また良い事も悪い事も怒りも憂いも全て自分に向けられているところに共感が持てました。そして短い言葉で感情を表現することは、容易ではないけれど人々の心にひっそりと残ることを知りました。もし今後ラブレターを書く時が訪れたなら、相手に引かれない程度に和歌の要素を取り入れてみようと思っております。