車酔いの記憶が染みついた本
Posted by admin on 2018年12月30日車の中で本を読むと気分が悪くなる体質の人っていますよね。私も子供の頃、家族で旅行に行った際、移動時間がかかるからと言われたので、暇つぶしに持ち込んだ本を車内で読んでいたら、とてつもなく気持ち悪くなった事がありました。揺れやシートに染みついた独特のクルマ臭と、よくよく考えてみるとこんな狭い箱の中に家族がぎゅうぎゅうに詰め込まれている違和感から目の奥が微睡んでくる心地になりました。気持ち悪いと訴えると、母が念のためにと持ってきてくれていた酔い止めドロップを舐め、窓を開けて風にあたっていたらあの時の猛烈な眩暈が嘘のように晴れて酔いはなくなりました。しかし問題は帰宅後まで続きます。その時に読んでいた本を読もうとすると、あの時のクルマ臭が立ちこめてくる錯覚に襲われ、それまで全く平静だったにも関わらずまた微睡みが背後から近付いてくるような気がするようになったのです。そんな事もあってしばらくはその本は読めずにいましたが、車酔いの事などすっかり忘れた頃に読んでみると、あの時の感覚は嘘のように何事もなく読み進める事ができたのです。「そういえばこの本ってあの時の」と思い出しても何も起りません。車酔いは不思議なもので、自家用車はダメだけどバスなら平然と乗れる人や、私もそうでしたが本を読まなければ何も起こらない人など、どんな条件で酔いが起るかは人それぞれなんだそうです。とくに子供の頃は車酔いしやすいらしく、わりと神経質なタイプの子に多いんだとか。自分はかつて神経質だったのかもしれません、今となってはすっかり神経が鈍ったのかと言うくらい、いくら本を読んでも何も感じなくなったのですが。