大覚寺展
Posted by admin on 2025年3月17日先日、東京国立博物館で催されている大覚寺展に行ってまいりました。
恥ずかしながらあまり日本史に造詣が深いわけではなく結局当日まで不勉強だったのですが、数々の重要文化財が展示される、しかも至近距離で見れるとあって期待値は非常に高かったです。
結論から言うと、心の底から行って良かった、見れてよかったと思える展示の数々でした。
まず大覚寺は開創から1150年の時を迎えるのですが、それだけの歴史をもっていることに畏敬の念を覚えます。
そんな展示場に入ってすぐに来館者を出迎えるのは「五大明王像」。天井まであろうかという大きさの像に、月並の言葉にはなりますが圧倒されました。どうやら5体が揃って東京に展示されるのは初めてのことらしく、また、この作者の作品で現在見ることが出来るのは五大明王像だけだとのことで非常に貴重な機会を得られたのだなと実感しました。
その背後には真言宗大覚寺派や空海に関する書簡、大覚寺統の中興を担った後宇多法皇をはじめとした大覚寺にゆかりのある天皇たちの宸翰がずらり。
虫食いのように穴が開いている書もあるものの、700年以上も状態良く保存されていることに驚かざるを得ません。中には後宇多法皇の手形印が押された書があったのですが、実際に”存在した”証を直に見たようで心を震わすものがありました。
そしてこれはくだらない感想なのですが、いつもこうして長い時を過ごしてきた書の類を見て思うことなのですが、良く筆と炭の一発書きで綺麗に間違えず書けるな~という気持ちになります(笑)もしかしたら当時は実際に何枚も書き直しているのかもしれないですが、公式文書を書く度にすごい緊張感で書いているんだろうなと想像すると、過去の偉人でも人間味と親近感を感じて頬が緩みます。
次に個人的に楽しみにしていた展示のうちの一つ。名刀髭切と膝丸について。
この兄弟刀が同時に展示されるのは本当に珍しいことで、この展示だけ待機列のスペースがありました。髭切に関しては北野天満宮の宝物庫で展示されており、私も以前拝見したのですが、髭切に関しては中々大覚寺から出てくることがなく、兄弟そろって展示されている貴重な機会に高揚しました。一緒に行っていた友人と何回も並び直して観たほどです(笑)
そしてそこを抜けると、いよいよ障壁画が展示されている章へ。大覚寺には凡そ240面の障壁画があり、そのうち修復を終えた123面が公開されました。重要文化財である襖絵や障子絵などの障壁画が壁一面に展示されており、非常に目が楽しい空間でした。また、普段は非公開である御冠の間の実寸レプリカ……と言えば良いでしょうか、再現された空間があり後宇多法皇がここで院政を取り仕切ったのだと解説がありました。
全4章すべての展示が素晴らしくて、最後の障壁画を眺めながら「もう終わってしまうのか」と残念な気持ちになるほどでした。あまりに名残惜しく、そして展示内容の素晴らしさともっと知りたいという気持ちから図録の購入を決めました。ハードカバーで美しい装丁の施された一冊で、所持しているだけで満足してしまいそうになりますが(笑)時間をかけてゆっくり読み進めていきたいと思います。