汚れた手をそこで拭かない
Posted by admin on 2025年7月30日芦沢央の『汚れた手をそこで拭かない』(2021年、文藝春秋)を読みました。
芦沢央さんは「イヤミス短篇の名手」と言われており、この作品も日常に潜む人間の弱さや悪意を描いた「イヤミス」満載です。
「空の乳房」「汚れた手をそこで拭かない」「神の穴」「アイツの時効」「もう一度、春を歩く」の5篇が収録されております。
長編のイヤミスも面白いのですが、短編だと読みやすさもありますが、よりリアルな感じがでるというか…イヤミス短編とても良いんですよ。
なんですかねこの、ゾクゾクする、読み終わった後に嫌な気分なのに、なぜかクセになる感覚。
登場人物の脆さや欲望が露わになり、心理的な恐怖や不快感がじわじわ伝わってきます。
今回もじわじわ嫌な気持ちや怖さを感じることができました。ありがとうございます(褒め言葉です)
短編集なので、各話は独立していてつながりはありませんが「汚れた手」(罪や隠したい本音)を象徴するテーマで繋がっている感じがします。
自分もこういうシチュエーションだったら……もしかしたら……こういう深層心理に訴えかける怖さがあります。
イヤミス初心者の方にもとても読みやすい一冊なので、気になった方はぜひ!